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【産学対談】AIと物流、出会うべき運命の未来とは?

【産学対談】AIと物流、出会うべき運命の未来とは?

株式会社PAL代表 辻が、最先端のAI技術を研究開発する北海道大学の調和系工学研究室 川村教授をお招きし、物流領域から見る今後の日本とAI技術について対談頂いた。




(川村教授)
「物流 × テクノロジー」で思い浮かべるのがAmazonの取り組みですね。その中でも特に興味深いのが、注文する前から近くの倉庫に商品を事前に送り、実際の注文が確定すると近くの倉庫からすぐに出荷できる仕組みがありますね。


(辻)
Amazonのキーテクノロジーは、物流のサプライチェーンシステムだけではなく、そのサプライチェーンシステムをスムーズに動かして行くAIテクノロジーだと捉えています。そのテクノロジーを詳しく理解しておく必要があります。配送スピードを上げる!作業スピードを上げる!をデータロジックの理解なく対抗しようとしても敵わないですね。


(川村教授)
Amazon物流のもう一つの特徴的なのはKIVAシステム。もともとロボットコンテストの中で、AI研究者が技術向上のためのコンテストを行っていて、その延長線でKIVA社が誕生し、ロボットの運用技術、ピッキングの基礎を開発していく中でAmazonに買収され発展しています。Amazonはロボット技術、AI技術の根っこを抑えていて、その分野の基幹カンパニーと言ってもよいレベルにあります。その上で、物流と情報の流通も抑えている。情報に物が一緒に動いているといった感覚。


(辻)
物流セクターが取り組むべきことは、設備投資。機械、ロボット、IoT、AIを使って自動化していく必要があります。2020年迄に300万人超の労働人口が消えると既に明らかな未来が始まっており、その時最もインパクトを受けるのは物流業界であるという危機感を常に持っています。
AIって何ですか?IoTとはどうやって使うの?と周りに相談しているだけでは、働き手の減少は待ってくれません。テクノロジーを意識せずとも、業務効率化を依頼すれば、AIやIoTが活用されたサービス提供が受けられる時代はもう来ています。そのマーケットに対して、テクノロジーのインストーラー的な役割を担って行きたいと事業を展開しています。


(川村教授)
テクノロジーの浸透により、ある側面だけで捉えると、今ある仕事が失われるという感傷的な面があることは否定しないが、新たに生まる仕事や産業も確実に存在する。
同じことをやるのに人数をかけてやるよりかは、その人々をもっと生産性が高い部署や、イノベーションを起こせる新事業へまわってもらったほうが社会としては良い方向にいきます。


(辻)
物流領域では仕事が無くなっていきますね、という声も聞こえてきますが、例えばロボットを動かす為の新たな仕事は誕生していっています。アルバイトの方々でも十分学んで頂ければ、高い給料をもらえるようになり、その方々がより良い生活をえることができます。



PALは、トラック等を持たずノンアセットでやっています。トラックにこだわらなかった理由は、いずれ自動化されたり、ある意味コモディティ化してしまう領域にあると捉えており、そこにアセットを持つことは、我々ベンチャーが本来やるべきイノベーションを起こすことに対して、大いなる足かせになってしまうという懸念があるからです。


(川村教授)
車の自動化が進んで行くと、トラックと人を抱えなければ事業展開できなかった運送領域が、トラックだけ持っていればよくなります。そうなると資本力があり、自動トラックを買える会社が強くなるので、ベンチャーの競争力は発揮できない。もっと裏方側へテクノロジーを活用することにベンチャーの生きる道が大きく開かれていると捉えています。


(辻)
現政権が2020までに自動運転法案整備の方針をもっており、また、ロボット導入に対して多額の助成金を出しています。全産業が手を携えて労働集約産業にどんどんメスを入れ、国の生産性を押し上げようとしています。小さな企業であったとしても、自動化に向けて先行投資を実施し、AIやIoTの領域への知見を蓄え、世界と同じスピードで生産性を向上させていく時代に突入してきています。無視しては通れません。


(川村教授)
AIテクノロジーを、今困っている領域に対して活用していくという意味においては、物量予測やスタッフシフトの自動最適化から取り組むことは、良いケースだと捉えています。それ自身はAI活用のゴールでは全くありませんが、テクノロジーを横展開して普及させていくには、スモールケースを多く作って行く必要があります。


(辻)
いきなり労働集約産業の代表格である物流プレイヤーが、IoTだ!AIだ!ロボティクスだ!と打ち出してもマーケットの方々は引いてしまうし、社内の社員に対するマーケティングにも失敗すると思っています。人間がめんどくさいこと、つらいことをテクノロジーに置き換わっていくことを見せる事が正しい進め方だと捉えています。


(川村教授)
日々働いている人の負担軽減がなされるとともに、予測の精度が上がっていくことが、利益につながっていく点は大きい取り組みですね。


(辻)
今後の AIや IoTが浸透する社会というのは、使えば使うほど多くの方々の働く環境や生活が、よりよくなっていくということだと思っています。今回始めさせて頂くロジポスもその普及の一助になれればと願っています。


(川村教授)
AIの最先端の分野を含めて、今まで出来なかったことを出来るようにすることだけではなく、大切なのは、今まで色んな試行錯誤をして効率化したり、省力化したり、生産性を上げてきた分野にこそ、AIが使われて行く事だと考えています。人の働き方や社会の労働の関係性を、より良い方向へ向かわせていくことが大切となります。
「今うちはAIをやっているのか?」とかいう話には意味がない(笑)。99%の仕事は、既にできあがった社会の仕組みの中で協調して動いているので、いかにそこを底上げしていくかが10年後20年後を考えていくうえで大事だと考えています。そこをしっかりやることが地味だけどテクノロジーを活用していく上では重要だと捉えています。


(辻)
テクノロジーは、本来”人”という軸があって初めて活用されていくもの。人の生活をより豊かに、より快適に、より効率的にしていくもの。我々は企業として、従業員さんにより快適に仕事をしていただき、面倒なことを省いたり、人生を有意義に使える時間を増やしてもらったり、より給料を稼いでもらえるように生産性を上げる活動にこそ、テクノロジーが使われる世界になっていくと捉えています。あくまで人。技術とは人々の幸せのためにあると思っていますので、我々テクノロジーを活用していく企業は忘れてはいけないテーマだと思います。9割できあがってる社会で、ちょっとしたことでも実は大きな効率化につながることは多くあるので、それを見つけ出しながら少しずつ変えていくことが、地味な作業ですが、やらねばならないと思っています。


(川村教授)
ロボットやAIを導入して生産性が上がった時、利益も上がり、従業員の皆さんも幸せになってもらえる。世の中そういう方向へ進めて行きたいと思います。

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